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ワークショップ日程 |
第1回 日 時 平成17年8月26日(金)午後2時~4時 会 場 龍野経済交流センター2階セミナー室 出席者 10名 検討内容『ツーリズムの取り組みと龍野市の可能性』 第2回 日 時 平成17年9月27日(火)午後2時~4時 会 場 龍野経済交流センター2階セミナー室 出席者 9名 検討内容『歴史や街並みを活かしたツーリズム』 第3回 日 時 平成17年10月6日(木)午後2時~4時 会 場 龍野経済交流センター2階セミナー室 出席者 9名 検討内容『産業ツーリズムの可能性を探る』 第4回 日 時 平成17年10月24日(月)午後2時~4時 会 場 龍野経済交流センター2階セミナー室 出席者 9名 検討内容『龍野ツーリズムモデルコースの策定と新たな仕掛け』 |
2006年03月10日登録 |
はじめに |
平成17年度むらおこし事業等地域活性化事業の対象として取り上げられたのは、龍野産業・文化ツーリズム推進事業である。この事業の2本柱として4回にわたって「特産品セミナー」が実施されるとともに、同じく4回の「ツーリズムワークショップ」が開催された。 |
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ツーリズムの取組みと龍野の可能性 |
1.観光立国としての国をあげての推進 経済の成熟化、高齢化、そして少子化が進むとともに、各地において地域独自の経済力を伸ばすことはますます難しくなっている。そのため、各地で交流を通した経済活性化の道が模索されてきた。それが、最近においては、ツーリズム運動としてとりあげられるようになった。 もとより、こうしたツーリズム運動で成果を収めるためには、地域が他に誇る基礎力をもっていることが条件である。何らの魅力もなく荒れ果てた地域に多くの人は訪れたいとは思わない。 もとより、わが国の各地にある古い街は、豊富な歴史と伝統を持っている。ここ龍野もまたその代表的な街である。歴史のみならず、地場産業に裏付けられた美しい街として、龍野の持つ魅力の潜在力は大きい。それゆえ、龍野のツーリズム運動を通して、龍野の魅力を再発見し、その内容を広く日本のみならず世界にアピールしていくことが必要なのである。そして、そうした動きが高まることで、次に大切なことは過去の遺産を守り育てるだけでなく、平成の人達が後世に残るような魅力を新たに作り出していくことが望まれているのである。 2.増加する海外からの旅行客 わが国においては、政府が推進するビジット・ジャパンのキャンペーンにより、年々訪日外国人の数が増えている。国際観光振興機構の推計では、2005年6月の訪日外国人数は、54万7千人と前年対比8.7%の増であった。これは過去最高の数字である。 もとよりその背景には、愛知万博の開催による集客効果、周辺諸国に対するビザの免除などの動きもある。日本からみても、渡航にあたってのビザの煩雑さは気軽な旅行を疎害するものであり、その意味でノービザの動きは今後とも気軽に日本を訪れる可能性を高めるものと言える。 訪日外国人総数は、年間600万人を超え、本年はさらにその数値を高めている。 3.各地で進むツーリズムの動き 兵庫県では、井戸知事のかけ声のもと、各地でツーリズム運動に呼応して、新たな動きが次々と生まれつつある。たとえば、三田市においても、行政が中心となって、ツーリズムのさまざまな動きを進めている。これには、三田商工会も主要な担い手として重要な役割を果たしている。こうした動きは、篠山や豊岡出石などでも、古くから取組まれていることでもある。 大切なことは、これらツーリズム運動が単に域外からのレジャー客を誘致し経済的な効果をあげるだけでなく、そうした取組みそのものが地域の人達による自らの見直しへとつながっていることである。 わが国では、長い歴史のなかで、魅力的な歴史資源は、どこにでも埋もれているといっても言い過ぎではない、問題は、こうした歴史資源を如何に現代のストーリーのなかで活かすシステムを作り上げるかということなのである。 4.龍野ツーリズムの現状と龍野の可能性 龍野においては、これまでも観光的なさまざまな動きが蓄積されてきた。しかし、今後はより広範なツーリズム活動を通して、埋もれているさまざまな資源を掘り起こし、有効に活用することが求められる。その意味で、龍野ツーリズムはまさに新たな第1歩を歩み出す段階だと言えよう。 では、この龍野ツーリズムを考える前に、何をすべきであろうか。それは、まず龍野の可能性を多くの人々が認識することこそが必要なのである。それゆえ、龍野の持つ現状のSWOT分析をワークショップのメンバーにより実施した。ただ、議論の煩雑さを避けるため、ここではSWOT分析のなかでもSの「強み」とWの「弱み」に的を絞って意見を述べてもらった。 5.龍野のSWOT分析(ワークショップ:2005.8.26実施) (1)強み (自然景観) 山と水 なだらかな坂 優れた自然 清流揖保川 自然の豊かなところ(2) 山や川の自然環境 四季を感じることができる 櫻、紅葉等風光明媚である (歴史的景観) 歴史があるところ 優れた町並 古い町並が残っている 「播磨の小京都」といわれる歴史ある町並 古代の播磨風土記のなかに出てくるところが多く残っている 龍野地区には近世の町割りやレトロな町並が残っている 龍野藩城下町のなごりが多く点在しているところ 町並が保存されている 街並の保存状態が良い 町全体がコンパクトにまとまっており、町を学習する施設(人・モノ)も整備されている 城下町の町並 静かな町並 (産業) 伝統的地場産業(醤油・素麺) 特産品(醤油・素麺・皮革等)(2) 昔から醤油、素麺のイメージがある (市民文化) 懐かしさ・癒しの街 商業主義に毒されていない素朴さ 町衆のホスピタリティー 親切 比較的多くの文化人が育っている 誇れる人 住民の理解、組織、市の支援も行われている (立地環境) 西播磨の中心である そんなに不便なところではない町 食材が豊富に手に入るところ (文化資源) 童謡「赤とんぼ」のふる里 童謡の里のイメージ 「この村に大燈国師生まれたり何ごともなき青田のながめ」中川一政 (宝林寺) ( )内の数字は、複数意見 (2)弱み (交通の便) 交通の便利が良くて、人が町にいない 公共交通の便が悪い (駐車場等の課題) 霞城の方は道が狭く、駐車場が遠い(大型バス) 大型車進入禁止の件(駐車場が遠い) 通常の観光地のように点から点への移動(大型バス)がしにくい バスでの来街者に対する対策不足 龍野地区での道路が狭く、駐車場がない 自家用向けの駐車場が少ない 駐車場が少ない 車の乗り入れがしにくい 道路が弱い モータリゼーションへの対応ではない (歴史的景観の維持) 人口が減少傾向にある、特に川西地区 空き地、空家の増加による町並の崩壊 (魅力資源の不足) インパクトを持った施設が少ない 食を楽しむ施設が少ない これといった目玉がない(有名なもの、温泉)がない 年間を通じての名物料理がない 素麺、醤油等、単品ではあるが、龍野に来たらこれを食べて頂きたいというのが無い お土産アイテムの貧困 川西地区で美味しく素麺や料理を提供するところが少ない ナショナルブランドがない (域外流出) 教育熱心な町であり、わかものがほとんど都会へ出てしまっている ショッピングは地元外が多い、特に若者 (地域の意識) 昔の栄え方がはんぱじゃなかった、その名残りがいまでもある 人間関係が難しい (発信力の不足) 情報発信が上手くない 龍野市をもっと宣伝(PR)するべきではないかと思う (地域視点の限界) 強みが逆にいえば全部弱みかもしれない(名物も歴史的人物も地元の人間だけが有名とおもっているかもしれない) (3)意見交換によるポイント こうした龍野の持つ「強み」と「弱み」について、それぞれの意見をかわしながら、更に以下のような点が指摘されている。 たとえば、龍野城の存在をハード的な存在という面だけに留めるのではなく、龍野城の持っている特徴を十分に学習し、歴史的な成り立ち等を知ることによってアピール力を高めたり、龍野の町衆のホスピタリティを前面に押し出すなどの取組みも必要だという声がある。また、合併による山から海の豊富な食材を活かした新龍野名物料理の創出なども求められよう。 こうした立派な資源を持ちながら、龍野が持つ最大の弱点は、その対外的な宣伝力の弱さである。今や各地で宣伝の中核として活動している「フィルムコミッション」の存在は、残念ながら龍野では未だ見られない。こうし地道な活動の中から、龍野の街が知られるだけでなく、それがひいては市民の「わが町への誇り」へと繋がる。最近、よくいわれる「シティプライド」という言葉に示されるように、これまでも市民の力で伝えられ、今もなお「生きている歴史の町」をどう演出するかが問われている。 また、最近では龍野の秋の風物詩として定着した「オータムフェスティバル」は、市民の力を結集したものとして評価できるが、ただ龍野のような古い歴史を持つ街のイベントとして、こうした洋風の名称が本当に適切であろうかという若干の疑問もある。 こうした横文字を並べることで、域外の市民が龍野に期待している古きたたずまいとの乖離を進めるのではなかろうか。そこでは観光客にとって龍野らしさの溢れたイベントに対する魅力が弱まっているのではなかろうか。 たとえば、今もし「秋燈祭」という名のもとに、 「秋の紅葉による紅の燈(あかり)」、 「大燈国師の燈(あかり)」——妙超、大徳寺開山、鎌倉後期 「稲穂に象徴される収穫の燈(あかり)」 などの意味を包含し、龍野の歴史と自然の豊かさとそして地域の産物の豊かさを演出するならば、そこに龍野が基本的に持つ全てが含まれた秋の祭りが多くの人々に訴えられるのではなかろうか。それは単にネーミングの話ではない。そこには龍野市民が一体何を訴えたいのかという問題が横たわっているのである。 |
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歴史や街並みを活かしたツーリズム |
1.龍野の強みとこぼれ落ちたもの 龍野の「強み」を考えた中から、興味深いことが見い出される。それは、その視点が地域社会にしっかりと定着している点である。 ワークショツプにおいて観光学者による地域と観光との関連を図示した際、ワークショップメンバーの武内氏から別の視点が提示された。通常観光学者はこうした利害関係者を並立に置く視点に立っている。ところが、武内氏の視点では、こうした点はあくまでも地域社会を中核として成立しているのである。 まさに、これらの点にこそ、地域の視点に立って問題を考えていることがはっきりと読み取れるのである。観光学者がどこまでいっても、問題を外観的に眺めているのに対し、武内氏は常に問題を地域の視点から把握する立場を確立している。龍野が持つ強みとは、まさにこうした自らの視点をハッキリと持つ人達が、まちづくりの推進役として存在していることではなかろうか。そしてそれは武内氏だけに留まらず、ワークショップに参加した多くの人達のレベルともつながる。龍野の潜在する課題とは、案外とこうした豊かな人材が戦略的に活用されていないという点にあるのではなかろうか。 2.龍野の弱みからわかる修正ポイント 今回、指摘された「弱み」の多くは龍野がもともと持っている条件でもある。たとえば、交通の便や駐車場等の課題は以前からいわれている。ただ、こうした弱点は小京都といわれる街には当然、附随してくるものである。こうした細い道や駐車場の弱さなどの課題を持つがゆえに、一方で龍野は魅力ある街として認識されているのである。 それゆえ、これらの弱みを直接的に克服しようというのではなく、うまく資源を組み合わせたり、活用したりして課題を迂回して進めていくことが望まれる。たとえば、バスの駐車場等については、適切な乗降ポイントの設定と見学中の退避場所のシステム化などを進め、それを関係者に十分伝達することである。 これとは別に、明らかな「弱み」もある。たとえば、歴史的景観の維持や魅力資源の不足の点である。とりわけ、小京都としての魅力の基本である街並の維持は、伝統的建造物の指定のみならず地域として、是非とも守っていかねばならないことである。その意味では、川西地区の街並は市民が共通に持つ地域資産だという認識が必要になる。 また、魅力資源の不足は全市あげてそれを作りだそうという過去の意欲の欠如でもある。既に問題点は明確となっている。次の課題はそれを生み出していこうとする環境整備であり、そしてそれを可能にする仕掛けである。「龍野特産品創出グランプリ」のテーマのもと、関係者により新たな商品を生み出す機会を提供していくことが望まれる。 3.街並を守るために 街並を守るために取り上げられた要素は、空家を活かした活用の他に、それを守るための仕組みや補助のあり方などが指摘された。その中でも興味深いのは、ワークショップのなかでの意見の多くが、市民の意識啓発という点にあったことである。 街並を守るための技術的な側面は確かに多い。しかし、結局、こうした古くからの街並を守るか否かは、市民の心一つにかかっている。外からみれば美しい街並も、そこで生活している人達には、古くて使いにくい旧式の家として認識されていることも多い。 こうした意識から多くの街で町家の中に現代的で機能的な建築が突如現れ、街並を崩壊させるということさえある。しかし、居住者のなかにも、こうした古い街並を守りたいという人達も少なくないし、再度、建築しなおす時はモダン和風にしてなんとか街並と調和させようとする人達もいる 問題は、こうした素晴らしい地域の資産を活かそうとする「声なき声」を地域の大きな声にしていく努力が求められていることである。もちろん、現在も心ある人達の活動は続いているが、今回のツーリズム活動を通じて、より大きなうねりを作りあげることが期待される。 4.街並を守るための龍野への提案(ワークショップ:2005.9.27実施) (1)街並を守るために (活用) ・空家を活かしてギャラリー ・空いた町家を活かしてチャレンジショップに ・下川原商店街等の空き店舗の活用術を考える ・空家の活用 (仕組み) ・空家を活用する仕組みの創設(商業目的、住居利用の側面から) ・自然に任せてしまうと空家が増え、その空家が朽ちて空き地になるか取り壊されて駐車場になってしまう運命を辿る。しかし、空家を貸すことはプライドが許さないという面がある。それを公が借り、チャレンジショップとして若い起業家を募り、運営を民にまかせれば活性化と街並保存の一挙両得 (補助) ・景観維持に対する補助の充実 ・住民の意識と保存するための施策(助成)の充実 (認知) ・伝統的建造物群の選定 ・伝統的建物の認定制度の創設 ・コアゾーンの設定と重点的整備 (意識啓発) ・町民・市民の意識を高める(家並み保存) ・次世代の街並に対する理解を深め、価値観の共有を図る ・街並ハイキング(小学校で実施済み)を継続していく:子供の時から愛着心を養う ・他の町のマネではなく、独自性と住民の自主性の喚起 ・行政と住民との意思のコーディネート ・住民と観光客の意見交換の場所の設定 (福祉・厚生・防災) ・高齢者対策(独り住いの建物に対して) ・老朽家屋の対策(耐震性、防災上からも) (その他) ・龍野の皮革でフェラガモづくり 5.代表的景観と新たな龍野八景の策定 龍野がツーリズムを進めるに際して、地域が持つ全ての資源をしっかりと把握すると同時に、対外的にはこうした資源をわかりやすい形で提供していく必要がある。 当然のことながら、地元の人には自明のことが、域外の人達にはそうではない。また域外の人達は、あくまでも多くの選択肢の中から龍野を選び、貴重な時間を費やすのである。もちろん、その中には、さまざまな龍野に対するニーズがある。問題はこうしたニーズの一つ一つに丁寧にこたえようとする龍野の努力であるとともに、一方でその多くを占める人達の単純なニーズにはわかりやすい形で応えていくことが必要である。 たとえば、われわれがツーリズムを楽しむ場合、その多くは既存の知識を再確認するという行動パターンを持っていることに注意が必要である。全く初めての場所で見たこともない景観に驚くよりも、既にその景観を写真や映画などで知っており、その場に立ってその素晴らしさを再確認するというそれである。 龍野がそうした何か懐かしい「デジャビュ」の街であることを思えば、だれにでもわかりやすい龍野の景観を明確にしていくことも一つの方法である。「龍野八景」という視点はまさにこうしたものである。ワークショップではこれらの作業も実施した。 6.龍野八景候補の選出(ワークショップ:2005.9.27実施) 龍野八景としてあげられるもの (自然景観) ・鶏籠山 ・揖保川(龍野橋)から見た鶏籠山(2) ・揖保川上流の左岸からみた夕暮れ時の山並(寝釈迦の姿) ・寝釈迦の渡しからの山並 ・龍野橋か東詰めから西側を見た山並と街並 ・旭橋から望む龍野の街並、白鷺山、的場山の風景 ・川西から見る神岡に昇る朝日 ・川東から川西の赤とんぼ荘を見た夕焼け ・西に沈む夕焼け (具体的建造物) ・聚遠亭の茶室(2) ・聚遠亭の静かな姿 ・揖保川をはさんで見るヒガシマルの工場 ・家老門から見上げるお城の櫓 ・カネ井醤油の建物 ・龍野公園内の石碑 (俯瞰景観) ・赤とんぼ荘から望む風景 ・赤とんぼ荘からの揖保川の流れ ・赤とんぼ荘展望レストランから望む城、街並、鶏籠山、揖保川の風景 ・赤とんぼ荘から鶏籠山を見た街並 (街並景観) ・霞城町の景観 ・武家屋敷の街並 ・如来寺と浦川 ・如来寺前の浦川と街並 ・地場産業の醤油蔵(門の外如来寺) ・大楠と堀家 ・堀家と大木 ・十文字川沿いの椿林(つらつら椿) ・正面に善龍寺が見える上川原地区(エデンの東前)の商家の街並 ・赤とんぼ荘から見た川西地区の醤油工場のエントツ、寺院の屋根瓦 ・街並に商家の3階建ての建物(ハナ屋周辺) (季節の風物詩) ・素麺の天日干し ・島田のあたりの古い家で冬に素麺を乾燥させる風景 ・櫻の時期の龍野公園 ・龍野公園の櫻並木 ・揖保川の鮎つり (昔懐かしい風景) ・昔のヒガシマル・樽屋の運送用の馬車(ラバ)の復活 (新たつの市の範囲) ・室津の泊まり ・新舞子の干潟 ( )内の数字は、複数意見 龍野八景としては大きく2つの方向性が考えられる。それは 1. 既存の龍野市の範囲 2. 新たつの市の範囲 というものである。 ただ、今回は合併間もないため、あくまでもその視点を龍野市の範囲に留めている。今後、大切なことは、市民運動としての龍野八景づくりを進めていくことであろう。自他ともに認める龍野八景が作り上げられるならば、それは市民のアイデンティティを更に強固にし、対外的なアピールに際してのわかりやすさに繋がる。 そのためには、「イメージによる龍野八景」だけでなく、「写真コンテストによる龍野八景」や「吟行による龍野八景」などさまざまな機会を捉え、問題を提起することが必要だ。自分達は十分知っているつもりの龍野の再発見は、案外と地域を知っている人からは生まれては来ない。地域を知れば知るほど、既成概念に影響され、新しい考え方が生まれにくいからである。しかし、日々の忙しさから忘れがちなふるさと龍野を意識して眺めることこそ、龍野に住む最大の幸せではないだろうか。 |
2006年03月10日登録 |
産業ツーリズムの可能性を探る |
1.龍野産業観光の可能性 龍野は地場産業の街として知られているだけに、産業観光としては多くの可能性を秘めている。醤油、素麺、皮革など、代表的な地場産業以外にも、和菓子、トイレットペーパー、乾麺、太鼓、畳み製造など多彩な製造業が存在している。もとより、こうした製造業の中には、食品系もあり徒な見学者の増加は衛生面での課題も存在する。ただ、これからの龍野の幅広いアピールとして、その見学の可能性を広げていくことは絶対に必要である。 2.龍野の見学先について(ワークショップ:2005.10.6) 龍野の見学先 ・ヒガシマル醤油工場(午前1組、午後1組:平日事前予約申し込み必要) ・醤油資料館周辺の醤油工場 ・醤油工場 ・甘酒製造所(薄口醤油の薄口にするために甘酒を入れるという説明ができる) ・もろみの工場 ・そうめんの製造工程 ・そうめんの農家での製造工程 ・紫黒米のそうめん工場 ・皮製品(かばん、くつ等)の加工工場(色、形など好みのオーダーをうけることもできるようにする) ・皮革工場(2) ・醤油:ヒガシマル ・そうめん:個人が多いので素麺資料館 ・皮革:個人が多い、組合に依頼してみるのも一つの方法では ・和菓子屋さん(下川原) ・西日本衛材(トイレットペーパーなどを作っている、古紙を溶かしている工程) ・イトメンのチャンポンメンを作っているところ(2) ・土産によくみられる和太鼓の製造所 ( )内の数字は、複数意見 3.観光地としての自信溢れるものづくり 龍野土産を強化するには、まず食の特徴づくりから始める必要がある。とりわけ、市町合併による新たつの市では、山海の珍味を組み合わせることが可能となった。それはこれまで以上に龍野の訴求力を大きく高めるものである。今後、こうした山海の食品を前面に押し出し、セットした土産品開発が求められる。 また、伝統的なイメージを高めるためには、これまでも存在する龍野焼きや孔雀焼等の陶器をさまざまな形でアピールすることも必要だ。 4.龍野の土産とアイディア(ワークショップ:2005.10.6) 龍野の土産とアイディア (1)お土産 ・室津の海産物(カキ、イカナゴ、アナゴ、鮮魚、干物) ・ワイン ・酢(2) ・つくだ煮各種(豆じゃこ) ・醤油、薄口ではないもの「たまり」、「みそ」 ・丹波黒の枝豆(農家で生産しているところがある、これを期間限定の土産に) ・しょうゆ飴 ・そうめん鉢 ・孔雀焼きの箸置き ・革の太鼓とキーホルダー ・当地でしか購入できないもの ・紫黒米製品 ・皮革の製品 ・饅頭 ・自由に配合できる醤油の販売(ある程度配合比は決めておいても良い) ・お好み焼きや鯛焼きや回転焼きの店が多いので、一工夫して「龍野版 焼き」みたいなものを作ってみては (2)アイディア ・もろみでおかき、お菓子 ・和菓子の小京都 ・和菓子グランプリ ・櫻を素材にした食品がもっとあってよいのでは ・ソーラー電池で羽が動く赤とんぼの模型(置き物) ・外門灯を皮製品で ・皮製品で自分だけの携帯ストラップ(キーホルダー)のようなもの ・紫黒米関連をもっと続けて ・「龍野ブランドの作成(革製品のブランド化) ・「たつの」の発音が外部の人にわかってもらえない、「たつの」ではなく ・「たつの」だということを看板やCDで作成してはどうか ・野見宿禰 ( )内の数字は、複数意見 5.龍野産業ツーリズムのネットワーク 今回取り上げられた多くの産業の中でも、見学を受け入れやすいところと受け入れにくいところがある。龍野産業ツーリズムを実質的に進めていくためには、それぞれの産業や企業の個別事情を明確に把握し、取組んでいくことが必要だ。企業によっては、年に数回ならば対応できるところもあるだろうし、毎日、対応できるところもあろう。大切なことは、こうした産業ツーリズムを活用することで、龍野の魅力の幅と外来の人達との接点を拡げていくことである。それが、これまでの中心である歴史資源や自然資源に加わった時、まさに龍野の魅力が倍加するといっても過言ではなかろう。 |
2006年03月10日登録 |
龍野モデルコースの策定と新たな仕掛け |
1.考えられるモデルコースパターン 考えられるモデルコースパターンとして、以下にいくつかのものを提示してみよう。まずテーマに沿った散策コースでは、 (1)龍野八景コース これは前述する龍野八景の選定を通して、考えられるものであり、春夏秋冬を折り込んだ龍野八景めぐりである。 ・揖保川からの鶏籠山 ・赤とんぼ荘から望む街並風景 ・聚遠亭の茶室 ・如来寺と浦川 ・春の龍野公園の櫻並木 ・夏の揖保川の鮎つり ・秋の紅葉谷 ・冬の素麺の天日干し (2)歴史文化の探訪 歴史文化に関しては、(1)に示した施設に加え、霞城館、醤油資料館、歴史文化資料館、赤とんぼ荘、龍野公園、龍野城一帯、そうめんの里など多数の資源があるので、街並み散策、歴史、文化、産業、偉人の各コースに分類する。 地場産業見学コースは、醤油資料館、そうめん資料館、皮革の加工場、西日本衛材、イトメン、和菓子の製造風景など ——お土産が付けばなおよし。 2.広域モデルコース 平成17年10月1日に旧龍野市、新宮町、揖保川町、御津町の合併によりたつの市が発足した。 (1)歴史文化探訪コース(5時間) ここでは新しいたつの市街をゆっくりと巡るコースであり、室津の泊まり、綾部山梅林、新舞子の干潟、永富家、東山公園に加えて龍野の見学を楽しむ。 次いで、見て、食べて、楽しむコースとしては、 (2)ゆったり驚きの贅沢コース(所要約7時間) ここでは車を利用し、豪華な食事の提供で、熟年を対象に新幹線の相生駅起点として考える。たつの市の範囲をやや逸脱するが、最近有名になってきたSPring8に因んだ8の字コースを設定する。コースは以下のとおり。 相生駅——揖保川(永富家)——龍野(市内:梅玉・赤とんぼ)——播磨新宮(放射光等)——御津(新舞子、室津:抹茶接待)——相生駅 地域活力を感じるコースとしては、地場産業をしっかりと見学するものであり、そこでの商品の販売・購入とセットする。 その他、季節感を堪能できるコースとして、それぞれの季節のお勧めを明確に提供する。 (3)春のおすすめ 龍野公園の櫻、御津の菜の花畑、チューリップ園 (4)夏のおすすめ 夏の揖保川の鮎つり、新舞子潮干狩り・海水浴 (5)秋のおすすめ 秋の紅葉谷、コスモス畑 (6)冬のおすすめ 素麺の天日干し、綾部山梅林 3.その他 最後に、市内や周辺の面白コースとして、知られざる秘境コースや周辺のついでコースなども考えられよう。今後とも、こうした龍野のバラエティを考えたコース設定により、龍野再発見を意識的に展開することが求められよう。 (1)知られざる龍野の秘境コース (2)龍野見学と周辺ついでコース 4.ツーリズムモデルコースの策定 以上のような意見に加え、ワークショップのさまざまな提案をもとに商工会議所のエリアを勘案して作成した。 |
2006年03月10日登録 |
これからの龍野ツーリズム |
龍野のツーリズム運動は、今始まったばかりである。そこでは、これまでの観光活動をさらに広げ、地域の人達のまちづくり活動と域外からくる人達との交流を通して、素晴らしい龍野を作りあげていくことが求められている。 とりわけ、観光として龍野を訪れる人達は、単なる通りすがりの人達ではなく、龍野の街を愛する人達であり、かつお客様なのである。こうした人達に、龍野市民に提供している日常的なサービスを平等に提供してこそ、その好意に応えることができるのである。その意味では、平日に運行されている川西地区の巡回バスなどは、日曜日にこそ率先して運行しなければならないものといえる。 これら既存の龍野システムを指摘し、そしてより一段と高い龍野ツーリズムを実現していくためには、地域の立場から問題を把握し、かつそれを客観的に改善できるブレーン集団が必要である。幸い、今回、ツーリズムのワークショップは、こうした問題に対してさまざまな意見を提示してきた。しかし、こうした龍野の誇る人材が、戦略的に動いてきたことはこれまでにあまり見られていない。せっかくのチャンスゆえ、今後、現在のワークショップを発展させ、龍野ツーリズムを支えていくブレーン集団として確立することが求められている。 ツーリズムは、すなわち対外的な開放そのものである。外に対して閉鎖された街では、本当のツーリズムは育たない。開かれた街であり、自分達の街に誇りを持つ人々がいて、そして外来のお客をもてなす心の余裕を持つ街。良きツーリズム運動は心豊かな街でこそ本当に発展することができるのである。 |
2006年03月07日登録 |